日本賃貸住宅管理協会が「賃貸住宅なんでもホットライン」の相談内容を発表
(2004/01/13更新)
日本賃貸住宅管理協会は、消費者からの電話相談「賃貸住宅なんでもホットライン」を、03年10月16日(木)、17日(金)の両日行い、このほどその内容の一部を発表した。これは毎年秋に、同協会が国土交通省等の後援によって開催しているもの。相談員は弁護士・スタッフなど、2日間でのべ99名。相談件数は184件となった。
最も多かった相談は今回も「原状回復」についてで、63件(34.2%)寄せられた。契約書に記載されている文言の有効性等を含め、入居したばかりの方から「原状回復の考え方を知りたい」という相談が目立った。貸主や仲介会社、管理会社は、賃貸借契約時に丁寧な説明を心掛ける、借主は、内容をよく理解してから契約するよう、分からないことがあったら十分な説明を求めるよう気を付けてほしい、としている。
次いで多かったのが「家賃滞納」についてで、30件(16.3%)。家賃滞納の問題が全国的に深刻化している。寄せられた相談のうち滞納の程度が分かっているものをまとめると、半年前後の滞納が4件、1年以上の滞納が6件あった。特に家主が自ら管理する物件では、滞納期間が長期化する傾向にあるようだ。貸主は家賃滞納に気付いたら、早期に督促を行うべきである。「家賃は遅れても構わない」という意識を借主に持たれてしまうことが、滞納長期化の第一歩である。中には、「家賃を半年払っていないので退去してほしいと言われている。退去しなければならないか」との借主からの相談もあった。同協会は家賃とは居住の対価であり、契約の目的でもある。借主には、この重要性を認識してほしい、としている。
【 相談事例 】(抜粋)
●競売によって、預けた敷金は何処へ?<千葉県の入居者(30代・男性)より>
9月に部屋から退去したところ、その建物は競売に掛かっていたようで、10月1日に競落された。そして、競落した新しい建物所有者から、原状回復費用として17万円を請求されている。そもそも預けていた5万5千円の敷金はどうなってしまったのか。
<アドバイス> その建物がいつ差押えられたのかを確認すること。差押えの後に契約(あるいは更新)していたのであれば、敷金は新所有者に承継されない可能性もある。原状回復は、とりあえず具体的な請求内容を明らかにすることが第一。明細書等、17万円の請求の根拠を求めること。
●妻が合意した原状回復の負担は覆せるか?<東京都の入居者(男性)より>
夫婦で住んでいた部屋を退去するに当たり、妻が管理会社と立合い、見積りに合意して精算書に署名した。しかし、汚れも少なく特約もないのにルームクリーニング代を負担させられるのは納得いかない。そもそも賃貸借契約書に署名していたのは私だが、契約者ではない者(妻)が行った合意は有効なのか。
<アドバイス> 費用負担について納得できない項目が明確のようなので、あとは話し合いで解決できなければ、少額訴訟等の裁判を利用するとよい。ただし、妻の行った合意は有効と認められる可能性がある。
●違反のペットによる損傷なのに敷金返還を求められた<京都の家主(50代・女性)より>
6年間入居していた方が退去。敷金を24万円預かっていたが、その部屋の原状回復には49万円必要。原因は、入居者が契約に違反してネコを飼っていたため。25万円不足すると伝えたがそんなに払えないと言うので、話し合った結果、追加して15万円支払ってもらうことで合意した。しかし、約束の期日になっても入金されず、先日裁判所から調停の呼び出し状が届いた。敷金20万円の返還を要求するとのこと。
<アドバイス> 自然損耗や通常使用による原状回復費用は、契約書に特約がなければ請求できないと考えられる。しかし、契約に違反してネコを飼育していたことによる修復が多いとのことなので、その分の修繕費用は損害賠償として請求すればよい。借主も一部過失を認めているとのことなので、調停では自分の言い分を主張すればよいだろう。
●落雪被害の危険を除去してほしい<北海道の入居者(40代・女性)より>
アパートの1階が車庫になっている建物。構造上の問題で、1階屋根からの落雪が、人や車に被害を及ぼす恐れがある。家主に対して危険の除去をお願いできるか。また、家主がこの危険を放置したために人や車が被害を受けたら、その損害の賠償を請求することはできるか。
<アドバイス> 入居者は家主に対し危険防止を求める権利がある。屋根の構造変更やこまめな除雪という対処方法を提案してあげてもよいだろう。ただしどのように対処するかは、経済的負担等を考慮の上で家主が選択できる。家主が危険を放置したために損害が発生した場合は、賃貸借契約上の義務不履行や不法行為を理由に、損害賠償の請求が可能。
●解雇した社員の滞納家賃の請求が保証人の私に…<徳島県の連帯保証人(女性・30代)より>
従業員がアパートを借りる際に連帯保証人になったが、本人がルーズなため解雇した。そのとき連帯保証人を降りる旨を伝え、本人も了解していた。しかし、その1ヵ月後に、私宛で滞納分の家賃の請求書が届いた。5〜6回の督促があり、この度調停が始まることになった。連帯保証人の責任は終了していないのか。
<アドバイス> 連帯して保証する責任は貸主に対して負っているもの。借主が了承しただけでは、保証責任は終了していない。いま請求されている保証債務は履行しなければならないが、若干減額してもらう等の交渉は可能だと思う。なお借主は無資力なようなので、その調停の場で貸主に対して保証契約の解除を求めると良いだろう。
●滞納分の家賃を支払ってもらいたい<福岡県の家主(女性・60代)より>
昨年初頭に入居者がリストラで失業。それ以来家賃の滞納が続いている。昨年5月と9月には、5万円、3万3千円と2回の入金があったものの、家賃は6万6千円。電話には出ないし、会いに行っても居留守をつかわれてしまう。どのように督促すれば滞納分を支払ってもらえるか。
<アドバイス> このまま督促を続けても滞納分を支払ってもらえる可能性は低いように感じる。すでに信頼関係が破壊されているようなので、契約の解除を検討した方がよいのではないか。
●駐車区画はいらないから家賃を下げて<宮崎県の入居者(女性・40代)より>
いま借りている部屋は車の駐車区画が付いている。この駐車区画を使わないのでその分家賃を減額してほしいと家主にお願いしたところ、2千円減額してくれるとのことだった。しかし、付近の駐車場の相場は5千円なので、家賃を5千円下げる義務があると思う。
<アドバイス> 借りている部屋と駐車区画を一体として賃借している以上、駐車区画だけを返すので賃料を下げてほしいという要求は、本来はできない。家主が応じてくれたのならその減額は有効だが、相場に従った5千円の減額を強制することまではできない。