民間賃貸住宅施策の新たな展開について、東京都住宅政策審議会が答申
(2003/08/08更新)
東京都住宅政策審議会は03年3月26日に東京都知事から「民間賃貸住宅施策の新たな展開について」諮問を受けた。これを受けて同審議会では、審議を重ね、03年8月5日、知事に答申を行った。
「東京における民間賃貸住宅施策をめぐる現状」として、98年現在、東京には500万世帯が居住しているが、そのうち約4割に当たる205万世帯が民間賃貸住宅に居住しており、全国平均の約3割と比べて高い割合となっている。民間賃貸住宅居住世帯の内訳は、約6割が単身世帯。高齢者単身世帯のうち約3割が民間賃貸住宅に居住している。
02年に行われた都の調査によると、住宅に不満を持っている人の割合は、持家と比べて賃貸住宅に住む人の方が高く、単身世帯と比べてファミリー世帯の方が高い。内容は「広さや間取り」「設備収納」「遮音性」「日当たりや風通し」「家賃」といった項目。
03年に行われた国の調査によると、近年「賃貸住宅でも構わない」という人が増加する傾向になった。これは持家取得のために多額の住宅ローンを組むことに慎重になっている人などが増えていると見られている。
東京の民間賃貸住宅の1戸当たりの広さは平均で36.7平方メートルで、持家の平均95.6平方メートルの約4割の広さしかない。全国の民間賃貸住宅の平均面積である44.5平方メートルと比べても狭小である。また「手すりがる」「廊下などが車椅子で通行可能」「段差のない屋内」といったバリアフリー化の要件に対応している住宅の割合も低くなっている。
「新たな民間賃貸住宅施策に求められる視点」として、職住近接や駅接居住、高齢者等における居住の安定の確保など、都民の賃貸住宅ニーズに的確に対応することが必要である。またバリアフリーや防犯性に配慮した安全で安心して居住できる民間賃貸住宅の普及を図るべきである。
さらにこれまで蓄積された住宅ストックや社会資本を有効に活用していく視点が重要であるとし、例えば定期借家制度の活用などによって、高齢者等の持家資産を含め既存の住宅ストックを市場で流動化させ、都民の住生活の向上に有効に活用することが重要である。
「今後重点的に取り組むべき施策の方向」として、「安心して貸し借りできる賃貸住宅市場を確立する」こと、および「必要な地域に必要な民間賃貸住宅の供給を誘導し、選択の幅を拡大する」ことに重点的に取り組むべきである。
賃貸借に関する紛争の増大に対し、貸主、借主の関係者間で、賃貸借の契約・管理に関し、必要な事項をあらかじめ取り決めておくなど、紛争の未然防止のための措置をとることが必要、としている。中でも最も苦情の多い、原状回復時の敷金の清算に関するものについて、原状回復の負担区分の明確化が特に重要である。
個人経営が大部分を占める賃貸住宅市場において、経営の効率化・合理化を促進するとともに、賃貸住宅居住の質の向上を図るため、専門的な立場から貸主の経営をサポートし、多様な管理サービスを提供する賃貸住宅管理業の育成・活用を図るべきである。貸主の経営リスクの軽減を図りつつ、良質な民間賃貸住宅の供給を促進するため、退去時を確実に見通すことのできる定期借家制度の普及を促進すべきである。
また高齢者が入居制限を受けることなく、円滑に民間賃貸住宅に入居できるよう、高齢者円滑入居賃貸住宅制度やあんしん入居制度について、区市町村と連携し、貸主の不安の軽減等にきめ細かく対応しつつ、その普及・促進に取り組むべきである。
利便性の高い地域での民間賃貸住宅の供給の誘導は、区市やNPO等と連携し、都心周辺の木造住宅密集地域等における老朽住宅を建て替え、都心でのオフィスビルの用途転用など、既成市街地の整備・更新と一体的に進めていくことが重要である。